未払賃金(残業代)
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管理監督者

監督又は管理の地位にある者(労働基準法41条2号)には、法定労働時間の規制が及ばず、深夜労働を除いては割増賃金を支払う必要は無い。もっとも、管理監督者に該当するかどうかの判断は簡単ではなく、経営の意思決定に参画しているか、出退勤に関する裁量権を有しているか、地位と権限に相応しいい賃金を得ているかどうか、などの諸事情を考慮して判断されます。

固定残業手当制度

割増賃金の支払に代えて一定額の手当を支給し、このほかに割増賃金を支給しないという制度のことです。裁判例上、適法とされるためには、①固定残業代が時間外労働に対する割増賃金であることが労働契約上明確になっていること、②基本給と時間外労働等の割増賃に当たる部分とが明確に判別できること、③当該手当てが実際の割増賃金額を上回っていなければならず、仮に下回っていて場合にはその差額分を支払うことが合意されていなければならないとされています。

歩合給

労働者個人の月間の売上高に一定の歩合率を乗じて算出される賃金であるが、労働法上は出来高払い賃金(労基法施行規則19条1項6号)であり、歩合給額を月ごとの総労働時間で除した金額を基礎賃金として、割増賃金額を計算します。

変形労働時間制

法定労働時間の枠を変形させる労働時間制で、例えば、1か月単位の変形労働時間制であれば、1日、1週については就業規則等で法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超える時間が定められれば、その時間を超えない限り時間外労働とはならない制度です(但し1か月の総労働時間が法定労働時間を超えた場合は時間外労働となります)。

フレックスタイム制

1か月などの単位期間のなかで一定時間労働することを条件として、1日の労働時間を自己の選択する時間に開始し、終了できる制度です。就業規則の定めと労使協定を締結することが条件となります。

裁量労働制

研究開発業務などに携わる労働者を対象とする専門業務型裁量労働制(労基法38条の3)と、企画・立案業務などに携わる労働者を対象とする企画業務型裁量労働制(労基法38条の4)がある。前者は労使協定が必要で、後者は労使委員会の5分の4以上の多数決が必要であるが、いずれもみなし労働時間を定めることができる。

高度プロフェッショナル労働制

金融商品の開発業務や資産運用会社におけるファンドマネージャーなど、高度の専門知識等を必要とし、その性質上従事した時間を従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる業務について(労基法41条の2)、労働時間、休日、深夜割増賃金の規定も適用されなくすることができる制度。労使委員会の5分の4以上の多数決が必要である。