ハラスメント
に関するキーワード解説

パワーハラスメント

職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害されるものと定義されています(労働施策総合推進法30条)。事業主には雇用管理上の必要な措置をとる義務が課されています。

内部通報

企業内部の不正を企業が定めた通報窓口に通報することですが、パワハラなどの不正は内部通報により発覚することも少なくないと言われています。内部通報した従業員は、不正目的で適正に通報すれば、会社から不利益な扱いをすることはできないことになっています(公益通報者保護法)。

取締役の責任

ハラスメントの発生で被害者に損害が発生した場合、会社法429条1項により、取締役が個人責任を追及される可能性があります。会社法429条1項の要件は故意又は重大な過失が要件となっていますが、労働施策総合推進法によりパワハラに関する雇用管理上の措置をとることが会社の義務と定められため、その義務に違反していれば故意又は重大な過失の要件は認められやすくなると考えられます。

安全配慮義務

使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をする義務を負っています(労働契約法5条)。使用者は、ハラスメントにより労働者が受ける心理的負荷により、心身の健康を損なうことが無いように注意する義務を負っているとされています。

セクシャルハラスメント

性的な言動を指し、雇用機会均等法では、労働者がこれに対する対応により不利益を受ける「対価型セクハラ」、とこれにより就業環境が害される「環境型セクハラ」に分類しています。事業主には雇用管理上の必要な措置をとる義務が課されています。

ジェンダーハラスメント

社会における固定観念的な性別による役割の違いを念頭に置いた言動を指します。例えば、「男のくせに根性がない」や「女は早く結婚したほうがいい」などの発言がこれに該当します。厳密には法律で規定されるセクハラとは異なりますが、職場環境の悪化につながるものであり、放置しないよう注意するのが望ましいです。

マタニティハラスメント

上司又は同僚が、雇用する女性労働者が妊娠出産したことその他妊娠又は出産に関する言動、法に定める休業その他の制度、措置の利用に関する言動、出産ののち育児介護休業法に定める制度、措置の利用に関する言動を行ったことにより就労環境を害することをいいます(雇用機会均等法11条の3)。